2026年4月号 箕面船場阪大前駅あたり
今日は「箕面船場阪大前」の駅の周辺を歩きます。まずこの変わった駅名の由来を調べました。まずは「船場」という地名から。
1960年代の話です。大阪の商業の中心地の船場は「荷下ろしする車が道をふさいでいて向かいの店に行くにも一苦労」するほどの好景気に沸いていました。いわゆる「糸へん景気」です。そこに中央大通り建設の計画が持ち上がりました。立ち退きを迫られる繊維関係の会社に提案された移転先は、箕面市の南部のこの場所でした。「箕面市船場」と名付けられ、甲子園球場の19倍の広さの繊維団地が開発されました。1980年までに250以上の会社が移転してきたそうです。
1970年の万博開催に合わせて建設された北大阪急行は千里中央駅が終点でした。その終点からは少し離れている「箕面船場」は少し不便な場所でしたが、万博の余韻とバブル経済の中で大いににぎわっていました。ところが1990年代に入り、この街にもバブル崩壊の波が襲いかかりました。繊維組合の会員数は半減し、街からは「船場の賑わい」がなくなってしまったのです。
2010年(平成22年)箕面市の「北大阪急行電鉄延伸」の要請を、株主である大阪府や電鉄会社などが受諾、2017年(平成29年)に延長工事が着手、2024年(令和6年)列車の運行が開始されました。 こんな話をしているうちに、梅田から地下鉄御堂筋線に乗ると30分ほどで「箕面船場阪大前」に到着しました。街の様子を紹介しましょう。

箕面船場阪大前駅ホーム
箕面船場阪大前駅はやや薄暗いのが印象的です。それに駅の壁に駅名看板や広告のたぐいがないという新しいデザインの駅です。改札口を出るとかなり長いエスカレーターが、地上に連れて行ってくれます。目の前に芸術劇場と図書館が、その奥の方に阪大外国語学部がありました。

地上へのエスカレーター

劇場とその奥の阪大外国語学部

阪大外国語学部
「大阪大学外国語学部」の前身は大阪外国語大学です。大阪外大は1921年(大正10年)に外国語専門の学校として上本町八丁目に設立されました。1949年(昭和24年)新制国立大阪外国語大学となって、12語学科で授業を進めました。作家の司馬遼太郎がモンゴル語学科の卒業生であることはよく知られています。現在は25語の専攻があるそうです。1979年(昭和54年)全国的な大学の郊外移転の動きの中、大阪外大も学舎を箕面市粟生間谷彩都に移しました。その後国立大学の法人化・再編成の時代がやってきました。2007年(平成19年)大阪外大は大阪大学に吸収合併され「大阪大学箕面キャンパス」と看板を書き換えました。
延伸される北大阪急行線の駅名に「阪大」の名前が加わることは、運行開始前の2018年(平成30年)に発表されました。電鉄会社、箕面市そして阪大の三者が協力して新しい街つくりが進められたのでした。
箕面市は第5次箕面市総合計画において、「(仮称)箕面船場駅」周辺を含む北大阪急行線沿線エリアを、箕面市の中心核を担う「都市拠点」として位置づけ、各種サービス機能の集約とともに活性化を図る区域としました。新たなまちづくりの核施設として、大阪大学箕面キャンパスの移転のほか、箕面市立文化芸能劇場、箕面市立船場生涯学習センター、箕面市立船場図書館 等の公共施設整備を完了しました。
阪大外国語学部が箕面船場の学舎に移転したのは2021年(令和3年)でした。電車が開通するまでの数年間、阪大言語学部の学生は通学にかなりの不便があったようです。
箕面船場の街の中央を南北に新御堂筋が通っています。駅上には数棟の新しい高層マンションが建築中です。

建築中の駅上タワマン

交差点の標識
歩いていていると「船場東」や「船場交番前」など船場があちこちに書かれています。「この街の成り立ちを忘れないぞ」という街の底力を感じさせられる道路標示です。

住所表示版
新御堂筋に造られた街の東西をつなぐ渡り廊下のような陸橋を西に歩いてみました。

街の東西をつなぐ陸橋
高層マンションを通り過ぎると、そこは新しい住宅街です。ドアーの横には駐車場という、郊外の街によくある家が並んでいます。ところどころに2階建てのワンルームマンションがあるのは、学生の街だからかもしれません。
「箕面船場阪大前」の開発について、箕面市や電鉄会社は大阪市の南の泉北ニュータウンに負けない発展をもくろんでいるようです。大阪梅田までの所要時間が30分とはいうものの、人口の増加は余り期待できません。外国語学部の学生数は千人を超えているのですが、卒業するとキャンパスを去っていきます。
街の発展にとってプラスの条件が少ないようですが、流通システムの変化の中を生き抜いてきた「船場商人の気概」を基礎に、大学の力を加えて「箕面船場阪大前」は、新しい街づくりに挑戦しているようです。
(文と写真:天野郡寿 神戸大学名誉教授)










































































